表題(例;@酸化数)の上のイメージ図をクリックすると詳細が出ます。

@酸化数 A電子を含む式の書き方 B酸化還元反応式
酸塩基反応は(私達が使うブレンステッド−ローリーの定義では)水素イオンH+の授受ですから、酸塩基反応の反応式を見れば、ほぼ即座に反応式中のどれが酸でどれが塩基であるか見分けがつきます。しかし、酸化還元反応は電子e−の授受ですから、酸化還元反応の反応式を見ても、(電子の授受の様子は少なくとも直接的には式中に描かれていないので)すぐには反応式中のどれが酸化剤でどれが還元剤であるか見分けがつきません。酸化剤や還元剤を見極めたい場合には、酸化数の変化をチェックすることが有効です。そして、その酸化数の決め方は、一種のルールですから、きちんと覚えなければいけません。 酸塩基反応であれば、化学式中のHやOH基の数を見れば、(酸や塩基の価数は、1molの酸が放出する水素イオンのmol数、1molの塩基が受け取る水素イオンのmoll数なので)何価の酸であるか何価の塩基であるかはすぐ分かります。しかし、酸化還元反応は電子e−の授受ですから、酸化剤や還元剤の価数(酸化剤や還元剤の価数は、1molの還元剤が放出する電子のmol数、1molの酸化剤が受け取る電子のmoll数)は、その化学式をみただけでは分かりません。よって、酸化剤や還元剤がどのように電子を受け取るか、放出するのか、それらの電子を含む式をすぐに書いて判断できることは、極めて重要です。、 酸化還元反応では、還元剤が放出した電子を酸化剤が受け取るわけですから、前述の電子を含む式を書ければ、それらから電子を消去することで、酸化還元のイオン反応式を書くことが出来ます。イオン反応式は、水溶液中で起こっている反応の様子を明確に示しているので、その意味では重要な式です。ただ、式中にあるイオン(例;水素イオン)が、どのような化合物(例;硫酸)を水に溶かして得られたのかを知りたいとき、私達はイオン反応式にさらに適当なイオンを補完して、「化学反応式」の変えることがあります。よって、私達は、イオン反応式と「化学反応式」を、きちんと素早く書ける必要があります。

C過マンガン酸塩滴定 DCOD(化学的酸素要求量) Eヨウ素滴定
酸塩基反応では、その終点の判定に、指示薬を用いました。しかし、酸塩基指示薬は、それ自身が酸や塩基ですから、多く加えることをしてはいけないなどの注意点があります。酸化還元反応では、その終点の判定に指示薬を使わなくても済みます(使わずに済むのは、それ自身の色が変化する指示薬のこと。ヨウ素の色の変化を補助するでんぷんなどは用いる)。酸化剤や還元剤には、反応に際して色の変化を伴うものが多々あり、その色の変化を利用すれば、終点の判定ができるからです。そのような観点から広く利用される酸化還元滴定の代表例のひとつが、過マンガン酸カリウムを用いた、過マンガン酸塩滴定です。 私達は、環境の汚染状況を、化学的な観点から測定する必要に迫られることがあります。そのような判定方法には、様々なものがありますが、その代表例の一つに、過マンガン酸塩滴定の応用例であるともいえるCOD(化学的酸素要求量)があります。これは、過マンガン酸塩滴定の学習の最終到達点ともいえるものですから、すぐにきちんと押さえておかなければならないというものではなく、気を楽にして向かってもらえば(あるいは、時期によっては、飛ばしてもらえば)良いと思います。注;上述の説明中のamolの過マンガン酸カリウムとbmolのシュウ酸は、過不足なく反応するように描かれている問題が主流です。 ヨウ素は、酸化剤の一つですが、酸化剤として働いた前後では色の変化があり、その色の変化はでんぷん水溶液を加えてある場合には(ヨウ素−でんぷん反応により)極めて明確です。よって、ヨウ素滴定は、終点の判定が容易で、過マンガン酸塩滴定と同様に広く用いられている酸化還元滴定です。ちなみに、「ヨウ素滴定」とは、要は「ヨウ素の量をチオ硫酸ナトリウム水溶液で滴定する」ということであり、求めたい物質の量をヨウ素に置き換えることができれば、求めたい物質の種類は問いません。すなわち、還元剤の定量はもとより、酸化剤の定量を行うことも可能です(ちなみに、出題頻度が高いのは後者の方です)。
ヨウ素滴定の簡単な説明
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