凝固点降下度の式をより丁寧に展開してみましょう。具体的には、質量モル濃度mを、溶質の質量w〔g〕、溶質の分子量M、溶媒の質量W〔g〕で表現し、凝固点降下度と質量モル濃度の比例式Δt=Kmに代入します。すると、実験によって(wの溶質をWの溶媒に溶かした溶液の)凝固点降下度を測定することによって、溶質の分子量が求められることがわかります。このように、凝固点降下度の測定は、分量測定法の一つとして利用することができます。 |
凝固点降下度の測定は、分子量測定法の一つです。よって、凝固点降下度の測定法についても、きちんとした知識をもっておく必要があります。測定装置の概略についてはもとより、実験データの概要やデータの整理方法についてもひととおり把握しておきましょう。凝固点降下度は、実験によって溶媒の冷却曲線データと溶液の冷却曲線データを得て、同曲線からそれぞれの凝固点を読み取り、それらの差から求められます。よって、それぞれの冷却曲線の形状の把握は重要ですね。 |
Cで得た凝固点降下度の式は、溶質が溶液雄で電離する場合(NaClやCaCl2のような強電解質の水溶液や、CH3COOHのような弱電解質の水溶液の場合など)や、会合したりする場合(たとえば、CH3COOHはベンゼン溶液中では二分子会合する)については適用できません。よって、余裕があるときに、そのような場合に適用するには、Cの凝固点降下度の式にどのような工夫を加えたら良いか、考えておくと良いでしょう(電離や会合による総物質量の変化を考えれば良い)。 |