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@蒸気圧降下 A沸点上昇 B凝固点降下
不揮発性の溶質を溶かした溶液の蒸気圧は、純溶媒の蒸気圧に溶媒のモル分率を掛けたものです。このことから、蒸気圧降下度は、溶質のモル分率に比例することが導かれます。また、この溶液が希薄溶液だとしたときには、蒸気圧降下度は質量モル濃度に比例することも導かれます。このような式の「誘導」は、必ずしも覚えておく必要はありませんが、一度はしっかりと読み込んで、納得しておきたいものです。 大気圧下での沸点は、飽和蒸気圧が大気圧に達したときの温度です。よって、蒸気圧が降下すると、それに従って、沸点は上昇します。このことは、自分なりの言葉で良いので、きちんと説明できるようにしておきましょう。@で考えたように、蒸気圧降下度は質量モル濃度に比例します。すなわち、沸点上昇度も、質量モル濃度に比例します。ただし、ここでの質量モル濃度とは、全溶質粒子の質量モル濃度のことです。 溶液の凝固点は溶媒の凝固点に比べて低くなります。このこと(凝固点降下)は、溶媒に(不揮発性の)溶質を混合すると、溶媒が自由に拡散したり(蒸発)、溶媒が整然と整列したり(凝固)することが難しくなり、溶媒の状態でいる温度範囲が広がるので、沸点は上昇し、凝固点は降下すると考えると、なんとなく納得できるかも知れませんね。このときの凝固点降下度も、沸点上昇度と同様に、質量モル濃度に比例します。

C凝固点降下の式 D凝固点降下度の測定 E電離や会合の考慮
凝固点降下度の式をより丁寧に展開してみましょう。具体的には、質量モル濃度を、溶質の質量〔g〕、溶質の分子量、溶媒の質量〔g〕で表現し、凝固点降下度と質量モル濃度の比例式ΔtKmに代入します。すると、実験によって(の溶質をの溶媒に溶かした溶液の)凝固点降下度を測定することによって、溶質の分子量が求められることがわかります。このように、凝固点降下度の測定は、分量測定法の一つとして利用することができます。 凝固点降下度の測定は、分子量測定法の一つです。よって、凝固点降下度の測定法についても、きちんとした知識をもっておく必要があります。測定装置の概略についてはもとより、実験データの概要やデータの整理方法についてもひととおり把握しておきましょう。凝固点降下度は、実験によって溶媒の冷却曲線データと溶液の冷却曲線データを得て、同曲線からそれぞれの凝固点を読み取り、それらの差から求められます。よって、それぞれの冷却曲線の形状の把握は重要ですね。 Cで得た凝固点降下度の式は、溶質が溶液雄で電離する場合(NaClやCaClのような強電解質の水溶液や、CHCOOHのような弱電解質の水溶液の場合など)や、会合したりする場合(たとえば、CHCOOHはベンゼン溶液中では二分子会合する)については適用できません。よって、余裕があるときに、そのような場合に適用するには、Cの凝固点降下度の式にどのような工夫を加えたら良いか、考えておくと良いでしょう(電離や会合による総物質量の変化を考えれば良い)。
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