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@どんなときにNaCl型?CsCl型? A陽イオンと陰イオンの配置は? B単位格子中の各イオンの個数は?
今度は、イオン結晶を眺めてみましょう。ここでは、イオン結晶(NaCl型、CsCl型を中心に)を題材にして、結晶の安定性について、あれこれ考えてみましょう。さて、NaCl型、CsCl型が成立するためには、どんな条件が必要でしょうか?ひとつには、陰イオンと陽イオンの半径比に、ある制約があるのです。それ(限界半径比)を考えるためにも、まずは、イオンの配置や単位格子中の個数、配位数を確認しましょう。 NaCl型では、一方のイオンのみに注目すると、その中心は、面心立方格子と同様に配置されています。他方のイオンのみに注目してもも同様です。CsCl型では、一方のイオンのみに注目すると、その中心は、立方体の各頂点に(単純立方格子と同様に)配置されています。他方のイオンのみに注目してもも同様です。 NaCl型では、各イオンの配置が面心立方格子と同様ですから、(面心立方格子と同様に)単位格子中に各イオンとも4個分ずつ含まれることになります。また、CsCl型では、各イオンの配置が単純立方格子と同様ですから、(単純立方格子と同様に)単位格子中に各イオンとも1個分ずつ含まれることになります。
NaCl型
CsCl型



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詳細 C配位数はどちらが多い? DNaCl型の限界半径比? ECsCl型の限界半径比?
あるイオンが、(最近接で)何個の反対符号のイオンに囲まれているか、その数を配位数と言います。NaCl型では6、CsCl型では8です。金属結晶の学習では、最近接原子数が多いほど、充填率も高くなる傾向がうかがえました。とすると、CsCl型の方が、NaCl型よりも密に集合している(より安定である)のでは?と予想できますね。実は、次項で考える「限界半径比」的にはNaCl型もCsCl型も成立できるという場合には、NaCl型ではなく、CsCl型が成立します。 イオン結晶においては、イオンは剛体球であり、イオンどうしは互いに接していると考えます。とすると、安定なイオン結晶では、互いに電気的に引き合う陽イオンと陰イオンは接していますが、電気的に反発し合う陽イオンどうし、あるいは、陰イオンどうしは離れています。さて、ここで、(単純化して、陰イオンの方が陽イオンより大きいと仮定して)相対的に、陰イオンをより大きく、陽イオンをより小さくしてみましょう。[右ブロックに続く] すると、(引き合う)陽イオンと陰イオンは接しているものの、(反発し合う)陰イオンどうしも接してしまうことになります。この状態は、イオン結晶としての成立限界です。よって、このときの陰イオンと陽イオンの半径の比(陰イオン半径/陽イオン半径)を、限界半径比(陽イオンと陰イオンが接し、かつ、陰イオンどうしも接してしまったときの半径の比)と呼びます。イオンの半径比が限界半径比以上であることが、成立条件のひとつとなります。
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