あるイオンが、(最近接で)何個の反対符号のイオンに囲まれているか、その数を配位数と言います。NaCl型では6、CsCl型では8です。金属結晶の学習では、最近接原子数が多いほど、充填率も高くなる傾向がうかがえました。とすると、CsCl型の方が、NaCl型よりも密に集合している(より安定である)のでは?と予想できますね。実は、次項で考える「限界半径比」的にはNaCl型もCsCl型も成立できるという場合には、NaCl型ではなく、CsCl型が成立します。 |
イオン結晶においては、イオンは剛体球であり、イオンどうしは互いに接していると考えます。とすると、安定なイオン結晶では、互いに電気的に引き合う陽イオンと陰イオンは接していますが、電気的に反発し合う陽イオンどうし、あるいは、陰イオンどうしは離れています。さて、ここで、(単純化して、陰イオンの方が陽イオンより大きいと仮定して)相対的に、陰イオンをより大きく、陽イオンをより小さくしてみましょう。[右ブロックに続く] |
すると、(引き合う)陽イオンと陰イオンは接しているものの、(反発し合う)陰イオンどうしも接してしまうことになります。この状態は、イオン結晶としての成立限界です。よって、このときの陰イオンと陽イオンの半径の比(陰イオン半径/陽イオン半径)を、限界半径比(陽イオンと陰イオンが接し、かつ、陰イオンどうしも接してしまったときの半径の比)と呼びます。イオンの半径比が限界半径比以上であることが、成立条件のひとつとなります。 |