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表題(例;@化学電池の基本的な構成って?)の上の イメージ図をクリックすると詳細な説明が出ます。

F陽極で起こる変化は? G陰極で起こる変化は? Hイオン交換膜法って?
陽極は、直流電源(電池)の正極に接続された極です。正極は電池が戻っていく極ですから、陽極では電子が奪われます。すなわち、電気分解の陽極は「酸化反応が引き起こされる極」です。様々な電解液を対象にすれば、それに応じて、様々な電極反応が起こることでしょう。しかし、電気分解を利用した代表的な化学工業を理解することを目的とするならば、上記の流れ図に示された程度の事象を押さえておけば、それで十分でしょう。本当の電気分解の反応は、電解液の濃度やかける電圧によっても左右されます。私達の学習で電解液の濃度やかける電圧を意識しないということは、起こりやすい反応だけを考えているからだとは思えませんか? 陰極は、直流電源(電池)の負極に接続された極です。負極は電池が出ていく極ですから、陰極では電子が与えられます。すなわち、電気分解の陰極は「還元反応が引き起こされる極」です。様々な電解液を対象にすれば、それに応じて、様々な電極反応が起こることでしょう。しかし、電気分解を利用した代表的な化学工業を理解することを目的とするならば、上記の流れ図に示された程度の事象を押さえておけば、それで十分でしょう。本当の電気分解の反応は、電解液の濃度やかける電圧によっても左右されます。私達の学習で電解液の濃度やかける電圧を意識しないということは、起こりやすい反応だけを考えているからだとは思えませんか? 塩化ナトリウムNaCl水溶液を電気分解して、水酸化ナトリウムNaOHや塩素Cl2などを工業的に製造する方法です。NaOHは、アルミニウムの製錬をはじめ、様々な化学工業において必要な化学物質ですし、塩素Cl2も、水道水やプールの殺菌に始まって、殺菌剤や漂白剤などに広く活用されている化学物質ですから、イオン交換膜法はしっかりと理解しておきたいものです。陽極では塩化物イオンが酸化されて塩素が発生します。相対的に過剰になったナトリウムイオンは、陽イオン交換膜を通過して、陽極側から陰極側に移動します。負極では水が還元されて水素が発生し、水酸化物イオンが生成します。結果、陰極側で水酸化ナトリウムが生成することになります。。

I銅の電解製錬って? JAlの溶融塩電解って? K電気分解の計算
銅鉱石(銅の化合物)を還元すると、粗銅(不純物の混ざった銅の単体)が得られます。この操作(化合物から単体)は製錬と呼ばれます。しかし、銅の単体を導線などとして用いるためには、粗銅のままではなく、より純度の高い単体である、純銅とする必要があります。この操作(単体の純度を高める)は精錬と呼ばれます。硫酸銅(U)水溶液に粗銅板と純銅板を浸し、粗銅板を陽極、純銅板を陰極として電気分解すると、結果的には粗銅側から純銅側に銅が移動し、純度を高めることが出来たことになります。 イオン交換膜法や銅の電解精錬は、水溶液の電気分解でした。一方、アルミニウムAlやナトリウムNaの製法は溶融塩電解(融解塩電解)であり、水溶液の電気分解とは幾分か異なります。イオン化傾向が大きいAlやNaを還元する(化合物から単体を取り出す)ことは、電気分解によってはじめて工業的に可能になりました。しかし、イオン化傾向が大きいため、水の共存下での電分解では(先に水が還元されしまうので)アルミニウムイオンやナトリうむイオンを還元することが出来ません。そこで、溶融塩(融解塩)の電気分解を行うのです。 実は、私は、電池や電気分解の計算というものはないと思っています。電池や電気分解を自分なりに理解し、その各電極反応や全体反応を書くことができたなら、あとはその反応式を見ながら、ごく当たり前の量的関係を(おもに比例式を用いて)解くだけだからです。とはいえ、流した電流の値や流した時間を電気量に換算し、その電気量を電子の物質量に換算できないことには、その当たり前の量的関係”すらままならなくなってしまいます。電流、時間、電気量、電子の物質量の関係は、間違えることのないようにしておきましょう。
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イオン交換膜法の簡単な説明  銅の電解精錬の簡単な説明